TED日本語 - ジョシュア・プレーガー: 100年の人生を1年ずつ綴る ― 偉大な作家の叡智から

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TED日本語 - ジョシュア・プレーガー: 100年の人生を1年ずつ綴る ― 偉大な作家の叡智から

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100年の人生を1年ずつ綴る ― 偉大な作家の叡智から

Wisdom from great writers on every year of life

ジョシュア・プレーガー

Joshua Prager

内容

誰もが一人一人違う人間であるのと同時に、誰もが壮大な時間の流れの中で同じように歳を重ねていくものです。そして人の一生に共通するそのパターンが、私たちの愛する様々な本の中に現れます。ジャーナリストのジョシュ・プレーガーが、グラフィック・デザイナーのミルトン・グレイザーの画像と共に、ノーマン・メイラーやジョイス・キャロル・オーツ、ウィリアム・トレヴァーを始めとする文豪たちの言葉を借り、人生の様々なステージにあちこち触れながら、染み入るように語ります。「私たちの今までも、現在も、これからのことも、本が教えてくれるのです。」

字幕

SCRIPT

Script

I'm turning 44 next month, and I have the sense that 44 is going to be a very good year, a year of fulfillment, realization. I have that sense, not because of anything particular in store for me, but because I read it would be a good year in a 1968 book by Norman Mailer.

"He felt his own age,forty-four ..." wrote Mailer in "The Armies of the Night," "... felt as if he were a solid embodiment of bone, muscle, heart, mind, and sentiment to be a man, as if he had arrived."

Yes, I know Mailer wasn't writing about me. But I also know that he was; for all of us -- you, me, the subject of his book, age more or less in step, proceed from birth along the same great sequence: through the wonders and confinements of childhood; the emancipations and frustrations of adolescence; the empowerments and millstones of adulthood; the recognitions and resignations of old age. There are patterns to life, and they are shared. As Thomas Mann wrote: "It will happen to me as to them."

We don't simply live these patterns. We record them, too. We write them down in books, where they become narratives that we can then read and recognize. Books tell us who we've been, who we are, who we will be, too. So they have for millennia. As James Salter wrote, "Life passes into pages if it passes into anything."

And so six years ago, a thought leapt to mind: if life passed into pages, there were, somewhere, passages written about every age. If I could find them, I could assemble them into a narrative. I could assemble them into a life, a long life, a hundred-year life, the entirety of that same great sequence through which the luckiest among us pass. I was then 37 years old, "an age of discretion," wrote William Trevor. I was prone to meditating on time and age. An illness in the family and later an injury to me had long made clear that growing old could not be assumed. And besides, growing old only postponed the inevitable, time seeing through what circumstance did not. It was all a bit disheartening.

A list, though, would last. To chronicle a life year by vulnerable year would be to clasp and to ground what was fleeting, would be to provide myself and others a glimpse into the future, whether we made it there or not. And when I then began to compile my list, I was quickly obsessed, searching pages and pages for ages and ages. Here we were at every annual step through our first hundred years. "Twenty-seven ... a time of sudden revelations," "sixty-two, ... of subtle diminishments."

I was mindful, of course, that such insights were relative. For starters, we now live longer, and so age more slowly. Christopher Isherwood used the phrase "the yellow leaf" to describe a man at 53, only one century after Lord Byron used it to describe himself at 36.

(Laughter)

I was mindful, too, that life can swing wildly and unpredictably from one year to the next, and that people may experience the same age differently. But even so, as the list coalesced, so, too, on the page, clear as the reflection in the mirror, did the life that I had been living: finding at 20 that "... one is less and less sure of who one is;" emerging at 30 from the "... wasteland of preparation into active life;" learning at 40 "... to close softly the doors to rooms [ I would ] not be coming back to." There I was.

Of course, there we all are. Milton Glaser, the great graphic designer whose beautiful visualizations you see here, and who today is 85 -- all those years "... a ripening and an apotheosis," wrote Nabokov -- noted to me that, like art and like color, literature helps us to remember what we've experienced.

And indeed, when I shared the list with my grandfather, he nodded in recognition. He was then 95 and soon to die, which, wrote Roberto Bolano, "... is the same as never dying." And looking back, he said to me that, yes, Proust was right that at 22, we are sure we will not die, just as a thanatologist named Edwin Shneidman was right that at 90, we are sure we will. It had happened to him, as to them.

Now the list is done: a hundred years. And looking back over it, I know that I am not done. I still have my life to live, still have many more pages to pass into. And mindful of Mailer, I await 44.

Thank you.

(Applause)

私は来月で44歳になりますが 44歳はとてもいい1年に なる気がします 夢が実現する年になる 予感がしています この予感は 何か特に思い当たることが あるわけではなく いい年になると 本で読んだからです ノーマン・メイラーが 1968年に書いた本です

「彼は44歳という 自分の年齢を実感した」 メイラー作『夜の軍隊』の一節です 「まるで自分自身が 一人の人間たるための 骨や筋肉、心臓、心、感情が 実体として具現化したかのようだった その段階にいま到達できた気分であった」

もちろん私のことを 書いたものではありませんが そうであるとも思っています あなたも私も 『夜の軍隊』の主人公も 誰もが そこそこ足並み揃って年を重ね 出生時から始まる壮大な変遷を 同じように経験します 全てが新鮮でありながらも 束縛される子供時代 自由を得ながらも 思い通りにならない思春期 力を手にしながらも 責任の重圧がかかる成人期 叡智を得つつも 諦観に至る晩年 人生にはパターンがあり これは皆に共通です トーマス・マンの言葉を借りれば 「人に起くるが如く我にも起くる」です

人はただパターン通りに 生きるだけではなく それを記録に残しもします 本として書き記すことで 物語が作られ これが後で読まれ 世に知られるわけです 本は 私たちの今までや 現在 そしてこれからのことも 教えてくれます これが何千年も続いているのです ジェームズ・ソルターの言葉では 「人生が何かに変わるとしたら 本のページである」

そこで6年前 ふと思いつきました 人生が本のページになるのなら きっとどこかに どの年齢についても 書かれているはず それを見つければ 1つの物語が組み立てられるかもしれない つぎはぎすれば 1つの人生になり 100年という長い人生 ― 最も幸運な人なら過ごすであろう 年月の全体像を 作り上げられるのではと考えました 当時私は37歳でした 「分別のつく歳」と ウィリアム・トレヴァーは書きました 私は時の流れや年齢について よく考えに耽っていました 病気を患う家族がいたり 自分が怪我をした経験からも 必ずしも歳をとれるとは限らないのだとは とっくに理解していました しかも 長生きすることは 不可避である死を延期するに過ぎず その間 生き急いだ人々を 見ていくだけ ― そう考えると 気が滅入りそうでした

でも リストを作れば 後世に残ります 人生の儚く脆い1年1年を 年代記として綴ることで 過ぎゆくものをこの手に掴んで 繋ぎとめておくことができ その歳まで生きられるかどうかに かかわらず 未来を垣間見ることができます 私はすぐにリスト作りに のめり込んでいき 何年も何年もかかって 本を何冊も何冊も読み漁りました こうして 100歳までの 全年齢が集まりました 「27歳 突然 啓示を受ける歳」 「62歳 かすかに後退気味になる歳」

もちろん こういった洞察が 相対的であることは承知でした まず 寿命が延びたため 老化は昔よりもゆっくり起こります クリストファー・イシャーウッドは 「枯れ葉」という言葉で 53歳という歳を表現しましたが 同じ言葉を その僅か1世紀前にはバイロンが 36歳の自身に対して使っていました

(笑)

また 人生が期せずして 大きく揺れ動き ある年が前の年と 様変わりしうることや 同じ年齢でも 経験の仕方は 人それぞれであることも承知の上でした それでも 各年齢が出揃うと それまでの自分の人生が 鏡に映っているかのように 本の中で 形になって見えてきました 20歳は「自分自身が何者か ますますわからなくなる歳」 30歳は「それまでの無為な準備期間を抜け 人生が活発になる歳」 40歳は「静かに部屋の戸を閉め もう戻ることはないと悟る歳」 まさに私そのものでした

当然 誰にでも当てはまります グラフィックデザインの巨匠 ミルトン・グレイザーは ― ご覧の美しいビジュアルを 作った方ですが ― 現在 御歳85歳と ナボコフの言葉で言えば 「熟成され 頂点にある」年齢です グレイザー氏が言うには アートや色彩と同じように 文学を使っても人の経験を 記憶できるのだとのこと

実際 作り上げたリストを 祖父に見せたら わかるという風に 頷いていました 当時祖父は95歳で 死が身近にありましたが ロベルト・ボラーニョの 言葉を借りれば それは「不死と同じこと」 でもあります あの時 祖父が言っていました 「22歳の時点では死ぬ気がしない」 というプルーストの言葉も尤もだが 死生学者 エドウィン・シュナイドマンの言葉 ― 「90になると確かに死ぬ実感が湧く」 も正しいと 「人に起くるが如く我にも起くる」の通り 祖父にも起こったのです

リストは完成し 100年が出来上がりました 見返してみてわかったのは 自分はまだこれからだ ― この先にもまだ人生があり たくさんのページが残っている ということ メイラーの言葉を胸に 44歳が待ち遠しいです

ありがとうございました

(拍手)

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品詞分類

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  • 動詞
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