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TED日本語 - ジル・ヒックス: テロ攻撃を生き延びて私が学んだこと
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テロ攻撃を生き延びて私が学んだこと
I survived a terrorist attack. Here's what I learned
ジル・ヒックス
Gill Hicks
内容
ジル・ヒックスの物語は、混沌と憎悪の念の燃えかすの中から生まれた、思いやりと人間性の物語です。2005年7月7日に起こったロンドンの爆破テロを生き延びた彼女は、その日の出来事について、そしていかに生き延びるかを考える中でもたらされた、深遠な教訓について語ります。
字幕
SCRIPT
Script
I could never have imagined that a 19-year-old suicide bomber would actually teach me a valuable lesson. But he did. He taught me to never presume anything about anyone you don't know.
On a Thursday morning in July 2005, the bomber and I, unknowingly, boarded the same train carriage at the same time, standing, apparently, just feet apart. I didn't see him. Actually, I didn't see anyone. You know not to look at anyone on the Tube, but I guess he saw me. I guess he looked at all of us, as his hand hovered over the detonation switch. I've often wondered: What was he thinking? Especially in those final seconds.
I know it wasn't personal. He didn't set out to kill or maim me, Gill Hicks. I mean -- he didn't know me. No. Instead, he gave me an unwarranted and an unwanted label. I had become the enemy. To him, I was the "other," the "them," as opposed to "us." The label "enemy" allowed him to dehumanize us. It allowed him to push that button. And he wasn't selective. Twenty-six precious lives were taken in my carriage alone, and I was almost one of them.
In the time it takes to draw a breath, we were plunged into a darkness so immense that it was almost tangible; what I imagine wading through tar might be like. We didn't know we were the enemy. We were just a bunch of commuters who, minutes earlier, had followed the Tube etiquette: no direct eye contact, no talking and absolutely no conversation.
But in the lifting of the darkness, we were reaching out. We were helping each other. We were calling out our names, a little bit like a roll call, waiting for responses.
"I'm Gill. I'm here. I'm alive. OK."
I didn't know Alison. But I listened for her check-ins every few minutes. I didn't know Richard. But it mattered to me that he survived.
All I shared with them was my first name. They didn't know that I was a head of a department at the Design Council. And here is my beloved briefcase, also rescued from that morning. They didn't know that I published architecture and design journals, that I was a Fellow of the Royal Society of Arts, that I wore black -- still do -- that I smoked cigarillos. I don't smoke cigarillos anymore. I drank gin and I watched TED Talks, of course, never dreaming that one day I would be standing, balancing on prosthetic legs, giving a talk.
I was a young Australian woman doing extraordinary things in London. And I wasn't ready for that all to end. I was so determined to survive that I used my scarf to tie tourniquets around the tops of my legs, and I just shut everything and everyone out, to focus, to listen to myself, to be guided by instinct alone. I lowered my breathing rate. I elevated my thighs. I held myself upright and I fought the urge to close my eyes.
I held on for almost an hour, an hour to contemplate the whole of my life up until this point. Perhaps I should have done more. Perhaps I could have lived more, seen more. Maybe I should have gone running, dancing, taken up yoga. But my priority and my focus was always my work. I lived to work. Who I was on my business card mattered to me. But it didn't matter down in that tunnel.
By the time I felt that first touch from one of my rescuers, I was unable to speak, unable to say even a small word, like "Gill." I surrendered my body to them. I had done all I possibly could, and now I was in their hands.
I understood just who and what humanity really is, when I first saw the ID tag that was given to me when I was admitted to hospital. And it read: "One unknown estimated female." One unknown estimated female. Those four words were my gift. What they told me very clearly was that my life was saved, purely because I was a human being. Difference of any kind made no difference to the extraordinary lengths that the rescuers were prepared to go to save my life, to save as many unknowns as they could, and putting their own lives at risk. To them, it didn't matter if I was rich or poor, the color of my skin, whether I was male or female, my sexual orientation, who I voted for, whether I was educated, if I had a faith or no faith at all. Nothing mattered other than I was a precious human life.
I see myself as a living fact. I am proof that unconditional love and respect can not only save, but it can transform lives. Here is a wonderful image of one of my rescuers, Andy, and I taken just last year. Ten years after the event, and here we are, arm in arm.
Throughout all the chaos, my hand was held tightly. My face was stroked gently. What did I feel? I felt loved. What's shielded me from hatred and wanting retribution, what's given me the courage to say: this ends with me is love. I was loved.
I believe the potential for widespread positive change is absolutely enormous because I know what we're capable of. I know the brilliance of humanity. So this leaves me with some pretty big things to ponder and some questions for us all to consider: Is what unites us not far greater than what can ever divide? Does it have to take a tragedy or a disaster for us to feel deeply connected as one species, as human beings? And when will we embrace the wisdom of our era to rise above mere tolerance and move to an acceptance for all who are only a label until we know them?
Thank you.
(Applause)
考えもしませんでした 19歳の自爆テロリストが 貴重な教訓を もたらしてくれるなんて でも 確かに教わりました よく知らない人のことは 決して知ったつもりになってはいけない 彼はそう教えてくれました
2005年7月の ある木曜の朝のことでした 自爆テロ犯と私は ― そうとは知らずに 同じ電車の車両に 同じ時間に乗り込み すぐそばに立っていました 彼には目もくれませんでした それどころか 誰も目に入りませんでした 地下鉄に乗っている時は 人を見たりなどしないものです でも彼は 私を見たのでしょう 彼は爆破スイッチに 手を伸ばしつつ 私たち全員を 見渡したのだと思います 以来 よく考えます 彼は何を考えていたのだろうかと 特に最後の数秒間に・・・
個人的な恨みでないことは 知っています 彼はジル・ヒックスを殺そうとか 傷つけようとしたのではないでしょう だって 彼は 私を知らなかったのですから いいえ そうではなく 彼は私に 不当な しかも望んでいない レッテルを貼ったのです 私は「敵」と見なされたのです 彼にとって私は「他者」でした 「我々」に対する 「彼ら」でした 彼は「敵」というレッテルによって 私たちを人間と見なさないことにしたのです そのレッテルによって ボタンを押すことができました 彼は選り好みをしませんでした 私の乗っていた車両だけで 26人もの尊い命が失われ 私もそこに名を連ねるところでした
はっと息を飲む間もなく 私たちは あまりの大きさに 触れられるのでは と思うほどに 大きな闇に放り込まれました タールの中を歩き回るとしたら あんな感じだと思います 自分たちが敵だなんて 知る由もありませんでした 私たちは通勤客に過ぎず ほんの数分前に 地下鉄のエチケットに従っただけです アイコンタクトをせず 何も言わず 会話を一切しないというエチケットです
でも 闇が薄れゆく中で 私たちは互いに 手を差し伸べていました 私たちは助け合っていたのです 自分の名前を声に出して言い 少し点呼にも似たやり取りで 誰かの反応を待ちました
「ジルです ここです 生きてます 大丈夫よ」
「ジルよ ここよ 生きてるわ 大丈夫」
私はアリソンを知りませんでしたが 数分ごとに彼女の 生存確認に耳を傾けました リチャードも知りませんでした でも彼が生き延びられたことは 私にとって重要でした
私が彼らに教えたのは 下の名前だけです 彼らは私が デザイン・カウンシルの 部長であることを 知りませんでした これはその朝 私とともに救助された 愛用のブリーフケースです 彼らは 私が建築・デザインの 学術雑誌を出版していることも 王立技芸協会のフェローであることも 黒い服が好きなことも ― これは今もですが ― 細葉巻を吸うことも 知りませんでした 今はもう 細葉巻は吸いません 私はジンを飲み TEDトークを見ていました もちろん 将来ここに立って 義足でバランスを取りながら トークをすることになるとは 予想だにしませんでした
私はオーストラリア出身の若い女性で ロンドンで素晴らしい経験をしていました それを終わらせるわけには いきませんでした 私は絶対に生き延びると 固い意思を持って スカーフを使って脚の上部に 止血帯を巻きました そしてあらゆる物も人も 遮断しました 自分に意識を集中させ 自分に耳を傾けて 本能の導きに従うためです 呼吸の回数を少なくし 太ももを高い位置に持ち上げ 姿勢を正して まぶたを閉じようとする気持ちと 闘いました
1時間くらい耐えたでしょうか この時点までの人生での出来事を すべて振り返る1時間でした もっと色々できたかもしれない もっと人生を謳歌して 様々な物を見られたかもしれない ランニングやダンス ヨガを始めたらよかったのかも でも 私が優先し重視してきたのは 常に仕事でした 仕事をするために生きていました 名刺に書かれた肩書は 私にとって 大きな意味があったのです でもトンネルの中では そんなことは関係ありませんでした
救助してくれた人たちが 私に触れた時には 声を出すことも できませんでした ほんの短い言葉 ― 「ジル」とさえ言えませんでした 私は身体を 彼らに預けました 自分にできることを 全てやり尽くして 今 彼らの手に委ねられていました
私が ― 人間とは何者であり 人間性とは何かを 心から理解したのは 入院先の病院で付けられた 身分証のタグを初めて見た時です こう書いてありました 「身元不明の 女性と思われる者1名」 「身元不明の」「女性」 「と思われる者」「1名」 このたった4つの言葉こそが 贈り物でした この言葉に はっきりと示されていました 私の命が救われたのは 「私が人間であった」 ただその一点に尽きるのだと いかなる違いも 救助隊の人々の 並外れた努力に 何ら影響は与えませんでした 私の命を救い できるだけ多くの 身元不明者を救うために 彼らは自らの命を 危険に晒したのです 彼らには大したことではなかったのです 私が裕福であろうが貧しかろうが どんな肌の色であろうが 男性であろうが 女性であろうが 私の性的指向や 誰に投票したかや 教育を受けているかどうかや 宗教を信じているか否かは 関係ありませんでした 私が1人の 尊い人間の命であること以外は 何一つ重要ではなかったのです
私は自分自身を 生き証人だと考えています 私という存在は「証」なのです 無償の愛と敬意は 命を救えるだけでなく 人々の人生を変えられるという証です これは私を救助してくれた1人である アンディと私の 昨年の写真です 事件から10年が経って 私たちはこうして 腕を組んでいます
あの混沌の中でずっと 私の手を固く握ってくれる人や やさしく顔を撫でてくれる人がいました どう感じたでしょう? 愛されていると感じました 私を憎悪や報復を願う気持ちから 守ってくれたもの ― 「この憎しみの連鎖は 私が断ち切るのだ」と言う 勇気をくれたものがあります それは愛です 私は愛されたのです
前向きな変化が 広まっていく可能性は 非常に大きいと私は考えています なぜなら私たち人間の 可能性を知っているからです 人間性の素晴らしさを 知っているからです そこで私は考えるべき かなり大きな問題と 全員が考えるべき いくつかの問いが残されました 人間を結びつけるものは 分け隔てるものよりも ずっと大きいのでは? 悲劇や惨事が起こらないと 人間として 1つの種として 深く結びついていることを 感じられないのでしょうか? そして私たちは一体いつ この時代の知恵に学ぶのでしょう? 単なる許容を超えて 互いを受け入れ合うのです 私たちは互いを知るまでは 単なるレッテルに過ぎないのですから
ありがとうございました
(拍手)
品詞分類
- 主語
- 動詞
- 助動詞
- 準動詞
- 関係詞等
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