TED日本語 - ジンハ・リー: コンピューターの世界に手を伸ばしてピクセルをつまむ

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TED日本語 - ジンハ・リー: コンピューターの世界に手を伸ばしてピクセルをつまむ

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コンピューターの世界に手を伸ばしてピクセルをつまむ

Reach into the computer and grab a pixel

ジンハ・リー

Jinha Lee

内容

私たちが日常的に触れている、物理的な世界とデジタル情報の間には、かつて大きな隔たりがありました。しかし、その壁はどんどん薄くなりつつあります。デザイナー兼エンジニアのジンハ・リーは、いっそその壁を取り払おうという取り組みを続けています。彼はこの短い、息をのむようなプレゼンテーションの中で、アイデアを次々と紹介してくれます。例えば、画面に感圧式のペンを突き立てて、三次元空間に立体を手で描きます。さらに、画面の内側にあるデジタルな物体に触れられるようにした、コンピューターで作業を行う環境の試作品を披露します。

字幕

SCRIPT

Script

Throughout the history of computers we've been striving to shorten the gap between us and digital information, the gap between our physical world and the world in the screen where our imagination can go wild. And this gap has become shorter, shorter, and even shorter, and now this gap is shortened down to less than a millimeter, the thickness of a touch-screen glass, and the power of computing has become accessible to everyone.

But I wondered, what if there could be no boundary at all? I started to imagine what this would look like. First, I created this tool which penetrates into the digital space, so when you press it hard on the screen, it transfers its physical body into pixels. Designers can materialize their ideas directly in 3D, and surgeons can practice on virtual organs underneath the screen. So with this tool, this boundary has been broken.

But our two hands still remain outside the screen. How can you reach inside and interact with the digital information using the full dexterity of our hands? At Microsoft Applied Sciences, along with my mentor Cati Boulanger, I redesigned the computer and turned a little space above the keyboard into a digital workspace. By combining a transparent display and depth cameras for sensing your fingers and face, now you can lift up your hands from the keyboard and reach inside this 3D space and grab pixels with your bare hands.

(Applause)

Because windows and files have a position in the real space, selecting them is as easy as grabbing a book off your shelf. Then you can flip through this book while highlighting the lines, words on the virtual touch pad below each floating window. Architects can stretch or rotate the models with their two hands directly. So in these examples, we are reaching into the digital world.

But how about reversing its role and having the digital information reach us instead? I'm sure many of us have had the experience of buying and returning items online. But now you don't have to worry about it. What I got here is an online augmented fitting room. This is a view that you get from head-mounted or see-through display when the system understands the geometry of your body.

Taking this idea further, I started to think, instead of just seeing these pixels in our space, how can we make it physical so that we can touch and feel it? What would such a future look like? At MIT Media Lab, along with my advisor Hiroshi Ishii and my collaborator Rehmi Post, we created this one physical pixel. Well, in this case, this spherical magnet acts like a 3D pixel in our space, which means that both computers and people can move this object to anywhere within this little 3D space. What we did was essentially canceling gravity and controlling the movement by combining magnetic levitation and mechanical actuation and sensing technologies. And by digitally programming the object, we are liberating the object from constraints of time and space, which means that now, human motions can be recorded and played back and left permanently in the physical world. So choreography can be taught physically over distance and Michael Jordan's famous shooting can be replicated over and over as a physical reality. Students can use this as a tool to learn about the complex concepts such as planetary motion, physics, and unlike computer screens or textbooks, this is a real, tangible experience that you can touch and feel, and it's very powerful. And what's more exciting than just turning what's currently in the computer physical is to start imagining how programming the world will alter even our daily physical activities.

(Laughter)

As you can see, the digital information will not just show us something but it will start directly acting upon us as a part of our physical surroundings without disconnecting ourselves from our world.

Today, we started by talking about the boundary, but if we remove this boundary, the only boundary left is our imagination.

Thank you.

(Applause)

コンピューターが誕生して以来 人間とデジタルデータとの 「壁」を減らす努力が― 積み重ねられました 物体が存在する現実世界と 画面の中の世界との壁です 画面ならば 想像を自由に 膨らませられますね そして 壁は少しずつ薄くなっていきました どんどん薄くなって ついに 極薄になりました わずか 1ミリ以下になり 画面のガラスだけです コンピューターの力を 誰でも簡単に使えるようになりました

では仮に 壁が全然なくなれば どうなるでしょう どんなことができるのか 想像するようになりました 最初は このツールを作りました デジタル空間側へ 突き抜けるペンです スクリーンに強く押し付けると 物理的に縮んだ部分が 画面の中にピクセルとなって表示されます デザイナーは 3D プリンターで アイデアをすぐに 実体化できます 外科医なら 画面の中の「仮想臓器」で 手技の練習ができます このツールを使って このとおり 「壁」をなくすことができました

ただし これでもまだ 両手は画面の外にあります 画面の中へ 手を入れられないでしょうか? デジタルデータの操作を― 直接 両手で行うには どうすればいいでしょう? マイクロソフトの研究部門 ASG で メンターのカティと 新種のコンピューターを 共同で設計しました キーボードの上のスペースを “デジタル作業空間”にしました 透ける画面と デプスカメラを組み合わせて 操作者の指や顔を認識します キーボードに触れずに 操作ができます 3D 空間の中へ手を入れて ピクセルも 素手でつかめます

(拍手)

ウィンドウとファイルは 空間の中に浮かんでいます ファイルを選ぶのは 棚から本を取るような 簡単な操作です 選んだ本のページを めくりながら 下の仮想タッチパッドを使って 行や語句を選ぶこともできます 建築物のモデルを じかに両手で引き延ばしたり― 回転させたりすることもできます ここまでの例は― デジタルの世界に 人間が入ろうとする試みでした

ここで 発想を逆転させましょう デジタルデータを画面から飛び出させて 人間に近づけてもいいのでは? ネットで買い物をして― 予想と違ったので 返品した経験はないですか? もう気にしなくてもよくなります ここで「拡張試着室」をお見せしましょう 着けているイメージを こんな風に見ることができます 空間上の位置を システムが認識して ヘッド・マウント・ディスプレー またはシー・スルーの画面に合成して表示されます

このアイデアを もっとふくらませようと考えました ピクセルを触ることができる空間に 単に表示するだけでなく― 実体を持たせられないか? そうすれば 触ったり 感じたりすることができます これが実現したら どんな未来になるだろう? MIT のメディアラボで 相談役の石井 裕さんやー 共同研究者のレミ・ポストと一緒に ピクセルを実体化しました 今回 この球形の磁石は 私たちが作り出した空間の中で 自由に動くピクセルとして 振る舞います コンピューター側からも操作できて 手でも動かせます この小さな空間内なら どこへでも移動できます 私たちがここで実現したことは 基本的に物体への重力を打ち消して 動きを制御することでした 手段としては 磁力による浮揚と機械的作動と― 動作検知の技術を組み合わせました 物体制御用のプログラムを 作ることで 時間と空間の制約から 物体が解放されます つまり こんなことができるようになります 人間の動きを記録して その動きを再現できます また 現実の世界の動きとして いつまでも残しておけます すると ダンスの振付を 遠い場所からでも教えてもらえるし 名選手の伝説のシュートも 再現できます 映像ではなく実体をもった動きとして 何度でも再現できます これを学生の教材に応用すれば 複雑な概念も分かりやすくなります 例えば 惑星の動きや 物理の分野が考えられます また コンピューターの画面や 教科書と違って 立体なら 現実感のある体験ができます 触ったり感じたりしたことから 得る印象は 強烈です 実は コンピューターの中にあるー データを実体化することよりも 楽しみなことがあります 新しい種類の世界を プログラムすることで 身体を健康に保つ運動のやり方すら 変わりそうだと想像することです

(笑)

お見せしたとおり デジタルな情報は 物体に変えられます 画面の中だけの存在ではありません 私たちの日常生活に溶け込めます 人間が画面にかじりついて 現実を忘れる必要はなくなります

今日は デジタル世界と現実の間の 壁の話から始めましたが この壁を 取り除いてしまえば 残る壁は 私たちが抱く 想像力の限界だけかもしれません

ありがとうございました

(拍手)

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品詞分類

  • 主語
  • 動詞
  • 助動詞
  • 準動詞
  • 関係詞等

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